人はなぜストーリーを求めるのか
古来から人はストーリーを作り、また求め続けてきた。神話然り、民話然り、子供向けの絵本も、映画も本も。
これらは人間が記憶すべき物事が他の動物よりも多いという特徴のおかげで発展した文化であると言える。
人間の記憶は関連づけることで行われる。
記憶していくことを増やし、記憶したことを分けることで、さらにそれぞれに関連づけられるようにしていく。これを繰り返し記憶できることや理解できることを増やしていく。
この一連の流れを仮に記憶サイクルとして、人は生きている間(あるいは認知症になる手前まで)このサイクルを繰り返し続ける。
「記憶→分類を増やす→分けられることが増える→記憶」
さて、このサイクルを繰り返していく過程の一番はじめの記憶の部分で、それぞれの情報をジャンルの大元である3種類6系統の精神状態に紐づけることになる。
上から
1,安心=オキシトシン
2,理解=セロトニン
3,期待=ドーパミン
4,悦楽=ドーパミン+アドレナリン
5.怒り=アドレナリン
6,悲しみ=コルチゾール
それぞれを代表する6つのストーリーがあり、人は物事を記憶するための取っ掛かりとしてそれらのストーリーに記憶する物事を関連づけていくことになる。ストーリーは育った環境によりある程度は異なるものの、大雑把には共通しているはずだ。
人の脳は記憶したことの大部分を寝ている間に分類する。ストーリーに関連づける。
その過程で見るのがいわゆる「夢」である。
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面白いことに夢占いでは夢を大雑把に6種類に分類していたりする。
それぞれ
グレートマザー=母性
オールドワイズマン=父性的な強さ
アニマ=女性らしさ
アニムス=男性らしさ
シャドー=コンプレックス
ペルソナ=作り上げた個性
ということだ。
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まあ大体は
安心するストーリー、理解するストーリー、楽しいストーリー、興奮するストーリー、怒りや恐怖のストーリー、悲しみのストーリー。
代表的な追われる夢は恐怖に分類されるだろう。追いかける夢は楽しいもの、誰かを傷つけるのは興奮するもの、繰り返し追われるものなんかは「同じ恐怖が繰り返される」ということになる。かなり分かりやすいと思う。
その日覚えた情報をどこに分類するか脳が考える過程で夢は生まれるのである。当然そこでの主人公は自分になる。
なので新たに記憶したことがあるのならば、覚えてないだけで人は毎日のように夢をみている。
物事を記憶として定着させるには夢を見るわけだが、この記憶の定着に必要なのが関連づけるベースになっている「物語」である。
さて、そんな物語だが、当然後天的に学習するものなので劣化していく。
劣化していくが脳は「生存時間=自身の正しさ」という比例して上昇する関係の公式を持っているので、新しいものを無意識のうちに避けやすくなる。新しいものを受け入れるということはこの「生存時間=自身の正しさ」という公式を否定することになるからだ。
物語は何歳になろうが記憶力を維持するのに必要不可欠である。それは創作であれそうでなかれ関係ない。